薬局・薬剤師

「松戸市薬剤師会介護相談事例集」の発行

「松戸市薬剤師会介護事例集」の発行

介護保険委員会

 

  一般社団法人松戸市薬剤師会

    介護保険委員会 水嶋節子・渡邉美千子・

                     佐々木有紀子・斎藤博美・船越和子

 

 今回発行させて頂きました「松薬市介護事例集」は平成16年度の介護保険委員のメンバーが、松戸市薬剤師会員薬局の中で介護相談がされているのか、されていればどんな事が起こっているのかを把握してみようと始めた事でした。

介護相談事例集平成15年度までの当委員会においても介護相談報告書を作成し会員に配布していましたので私達もその報告書を利用させて頂きました。事務局の協力を得て毎月「まつやく通信」(注:松戸市薬剤師会の10ページ程の会報誌)の中に入れて貰い会員薬局に配布しました。また会員へ委員会まで介護相談事例の提供をお願いしました。

 100事例収集の目標を掲げたのは無謀でした。気の遠くなる様な目標で息絶えだえの時もありましたが、8年4ヶ月も歳月を経てなんとか100事例に到達いたしました。これも長期にわたり会員の皆様のご協力の賜物で感謝の思いでいっぱいです。

 平成16年頃は介護保険の日も浅く、国民にも広く浸透しておらず誰もが戸惑う時期でした。敷居の低い薬局を目当てに質問して来る患者さんも多く、薬局薬剤師の中にはあちこちで情報を集め、にわか勉強で対応する場面も見られました。そんな中、松戸市薬剤師会でも数十名の先生がケアマネジャーの資格取得に挑戦しました。

 「まちかど介護相談薬局」事業が平成18年に立ち上がり、その相乗効果で多くの会員薬局で介護相談の体験がなされた様です。その頃から事例の報告も増え始めました。「まつやく通信」への掲載が追いつかない事もありました。

 年月がかかっただけ、初期の段階では保険のしくみや杖やオムツ等基本的な質問でしたが、後半になるに連れて相談内容も複雑になり、回答やコメントの編集も困難になりました。

その為メンバーの対応では追いつかず、薬剤師でケアマネジャーでもある松戸市薬剤師会会員の箕輪佳津子先生に後半のほとんどのコメントをお任せしてしまいました。大変ご尽力をいただきました。深く感謝申し上げます。

 多くの会員皆様のお役に立てればと収集した小さな事例集ですが県薬会員の皆様にご報告させていただきます。最後に100事例すべて読んでいただきたいところですが記憶に残る数例ご紹介させていただきます。

 

介護相談事例 19  要支援1、要支援2の方のケアプランはどこに頼めばよいか?(2006年掲載)

①サービス利用者

①脳梗塞後遺症で言葉が不自由な60歳代の男性。相談者は奥様

②相談内容

②現在、医療保険にて言語リハビリを受けているが4月から介護保険にてのリハビリに変更するよう医療機関よりいわれた。

その為認定を受けて(支援2)と判定された。

ケアプランを作って貰おうとしたが2ヶ所の事業所のケアマネジャーにやんわりと断られた。

予防給付のプランは指定居宅介護支援事業者では出来ないのか。出来ないなら何処へ頼めば良いのか。

③会員薬局の対応等

③地区在宅介護支援センターを照会したが知り合いのケアマネジャーにも状況を聞いた。今回の改正でケアマネジャーの計画できるプランの件数に上限があり介護給付(介護1~介護5)のプラン35件との事。予防給付(支援1、支援2)については基本的には松戸市の介護予防推進担当室に連絡をして下さい。指定居宅介護支援事業者のケアマネジャーも松戸市より委託を受けて予防給付の人のプランを計画する事が出来るがその上限は8名までとされている。

④コメント

④薬局内でケアマネの資格がある者が居た為、急遽、お仲間の薬局の居宅支援事業者に相談しその事業所のケアマネジャーに登録させて貰い(席を置かせて貰い)県にも手続きもして相談者のプランの計画をなんとかたてる事が出来ました。

<相談者よりの報告>

順調にサービスが受けられるようになり感謝している。サービス利用者は通い始めたデイケアが楽しくてとても喜んでいる。

追記

<要支援1・2の人が利用できるサービス> サービス利用に際しては、「地域包括支援センター」に連絡・契約し、生活機能を改善することを目指したケアプランが、作成・提案され、合意の上、サービスを受けることになります(一部は居宅介護支援事業者がケアプランを作成します)。

(平成25年度版 ながいき手帳より)

 

介護相談事例 25  通院介助中急に息苦しくなりニトロをなめさせたが、一向に良くならず、

           緊張した。(2006年掲載)

①サービス利用者

①84歳の男性

相談者は60歳代の男性のヘルパー(自分の血圧の薬を取りにきた折に)

②相談内容

②84歳の一人暮らしの男性をヘルパーとして担当している。仕事の内容は掃除、買い物、洗濯等の週2回の生活の援助と月2回の通院介助をしている。男性は心臓が悪く時々ニトロを口にしている。先日通院途中のタクシーの中で急に苦しくなりニトロを舐めたが一向に良くならず大変緊張した。後で聞いたがそう言う時はもう1錠追加で飲ませても良いと聞いたが本当に良いのでしょうか。

もし飲ませて良いのであれば間隔はどのくらい開ければ良いのか。

③会員薬局の対応等

③服用後数分間で効果があるが効果があらわれない場合は更に1錠~2錠追加して服用できる。

④コメント

④1回の発作に3錠まで投与しても効果があらわれない場合、発作が15~

20分以上持続する場合には直ちに主治医に連絡する。しかし今回のケースはあくまで通院介助の中で発生した事例の為、ヘルパーの判断も困難で決断も難しいと思われますので事前に本人や家族また医師等にその様な事態が発生した場合の対処(1錠追加しても良い等)の確認しておく事が必要です。

 

 

介護相談事例 63  服薬管理のできなくなった高齢者夫婦への対応。(2010年掲載)

①サービス利用者

①介護度4の女性(79歳) 相談者83歳の夫

二人暮らしの高齢者世帯のようなもの(息子さんが2階に住んでいるが殆ど交流なく無関心)

②相談内容

②最近オムツ券がないから自費でオムツを購入した。また薬がないとのトラブルが多くなった。妻の薬を夫が管理しているが一包化指示あるも朝昼夕寝る前と用法も多く混乱してしまった為2年前より薬局にて服薬カレンダーを作成2週間に1回処方箋発生の度に作成し投薬しているが、最近夫はその管理もきちんと出来なくなった。残薬ないとの再三の訴えに残薬確認のため訪問した。服薬カレンダーのあちらこちらに飲み残しや日付けの先の方が抜けていて服薬のコンプライアンスは劣悪であった。

③会員薬局の対応等

③居合わせたヘルパーよりケアマネージャーに連絡して貰らった。

ケアマネージャーがその日の内に来局してくれた為、事情を説明した。ケアマネージャーによると衛生面も劣悪で尿で濡れたままディサービスに行ってしまい、そちらの施設からも連絡が入っている為近日中に無関心の息子さん、他市に住む娘さんも交えてカンファレンスをする予定との事。夫の介護認定の予定もあるが夫が拒否しているとの事。

④コメント

④今回のケースは相談を直接受けたわけではないが患者や患者家族の様子や変化を見抜いて問題点をさぐり介護関係スタッフ、あるいは身近な親族に知らせ係わっている人達に知って貰う良いきっかけになったと思います。

服薬のコンプライアンスのレベルの把握は重要です。忙し過ぎてそこまでは出来ないと思われがちですが、服薬指導は少なくとも対面で行う為、患者さんやその家族の問題点や変化をキャッチ出来る位置にある為そういう人達を見出す一番身近な存在かも知れません。

 

介護相談事例 76  50歳代末期がんの家族が退院。家族で看護していけるか不安。(2010年掲載)

①サービス利用者

①利用者 :50代男性

相談者 :妻(定期的に妻の処方箋調剤を当薬局で受けていたが、夫が癌で入院中という話におよんで)

②相談内容

②H.22年6月初め、来局時ご主人が大腸癌で入院、手術となり一両日がやまと主治医よりお話があったといわれていた。7月来局時、主治医より末期癌との話を受け、退院し、自宅で訪問診療となるという。ストーマもつけているし、これからどうしたらいいのか、家族で看護していけるのか心配だと話される。

①    員薬局の対応等

③50代の方は、介護保険で第2号被保険者にあたり特定疾病(今回の場合末期癌)により介護が必要になった時は、保険給付の対象となるので、介護保険の利用も考え、介護支援課へ相談するようにすすめる。

後日、病院でも話があり、市役所へ申請したとのことです。

④コメント

④薬局さんでの対応は的確だと思います。

訪問診療を受ければ医師と身近に相談ができて指導も受けられます。訪問看護(常に医師との連携をとりながら対応)訪問入浴(ベッドの横で浴槽による入浴)訪問介護(ヘルパーによる身体介護。清拭やおむつ交換)等トータル的に家族を支えてもらえます。介護度認定の結果がでたらケアマネジャーと相談しながらケアプランを作成し、介護者に添った必要なサービスを優先的につけていけば、在宅での療養も1~2ヶ月で落ち着いてきます。

 

介護相談事例 81  3.11震災で受診できなくなった高齢者への在宅医療の導入。(2011年掲載)

①サービス利用者

①相談者:88歳の女性

②相談内容

②3月12日、○○市のJ医大附属病院に受診予定だったが、地震の影響で行かれず、薬がきれてしまったので、同効薬を一般薬でいいので買いたいという電話相談があった。

相談者は四点杖でやっと移動できる状態。病院受診時は娘さんの介助のもと、松戸から柏まで往復タクシーを利用している。

その娘さんは地震の時に腰を打ってしまいつきそいできなくなってしまった。

そのためJ医大はもとより、近隣の医院へも行けない状態だという。

③会員薬局の対応等

③消炎鎮痛剤(ロキソニン)、胃炎防止薬(ムコスタ)を服用。

一般薬がないわけでもないが、診察が必要と思われA診療所さんを紹介した。その後A診療所の先生が往診してくれたとの事。家にいてお医者様に診ていただけて、ほんとうによかったと電話をしてくれ、よろこばれた。

④コメント

④介護者に突然おこる事態の中、薬もきれてしまったお困りの高齢者に在宅診療の期間を紹介し、その後診療所から往診してもらえた事はとても良い対応が出来たと思います。

その後は医療関の連携のもと、患者さんと家族の意向に添って安心出来る生活になるよう、介護保険に関わる相談をケアマネジャーと話し合いましょう。

介護保険は介護、医療、福祉の総合支援となっています。

 

介護相談事例 94  介護度が下がったのは制度が厳しくなったせい?(2012年掲載)

①サービス利用者

①60歳女性。脳疾患にて2号保険者。独居(一人暮らし)

相談者 本人

②相談内容

②介護保険の制度が変わり、審査がきびしくなり、介護3から介護2になった。そのため朝・昼・夕と食事の準備をたのんでいたヘルパーが、昼と夕だけになるとのこと。朝はパンを焼いて自分で用意するよう言われた。そのためケアマネージャーとけんかになった。別のケアマネージャーに変えたいがどうしたら良いか。

③会員薬局の対応等

③まず介護3から介護2になったのは審査がきびしいとかの問題ではなく、日常生活の動作が向上しているため以前よりできることが多くなっているのでは?

また介護2のサービスの限度内のサービスとなるため、朝のサービスをぬかざるをえないのでは。ケアマネージャーは限度を守って計画を立てているので、別のケアマネでも同じような計画になるので、よく考えたほうがいいと答えました。

④コメント

④ケアマネジャーの変更についての御相談ですが、薬局さんの対応は的確なお答えだと思います。前回にも記載しましたが、介護保険は支えあいの仕組みで、成り立っています。

財源も圧迫している状態をよく理解して、今受けている援助が適切であるか、過剰な援助を見直して、出来ることは、頑張るよう心がける事です。

自分の思い通りにいかないからと、ケアマネジャーを変更したいというのは、身勝手な事ですが、お互いの信頼関係が崩れた時は、交代も可能です。

要介護認定とは、介護の手間を計るもので、年齢×疾患×居住環境×意欲×能力×介護方法などの組み合わせから生じる結果です。

その結果に納得がいかない場合、不服を申し立てる事は出来ますので、市町村の介護支援課に相談して下さい。